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奈良県下北山村キャンプ(野宿) [キャンプツーリング FLH]



奈良県下北山村キャンプツーリングの続き



写真無しの長文なので、読むのが面倒くさい方はスルーして下さい^^


18時くらいだろうか。


二人とも眠気に襲われ、少し遅い昼寝をすることにした。


テントに入ってすぐの事だったと思う。 少し寝付きだした頃に遠くから






フォフォ~    フォフォ~



・・・フォワッ  フォワッ





と動物の鳴き声が聞こえてきた。


初めは気にはならなかったが、やがて



フォワッフォワッ フォワッ


フォワッ フォワッフォワッ・・・


その声の主が少しずつ近づいてきていることに気付いた。と同時に、数年前に観たTVの動物番組を思い出した。


その番組の内容は、野生のチンパンジーの生態の紹介で、群れに危険が迫っている時に仲間に警戒を呼び掛ける方法などをクイズ形式で放送していた。




今聞こえてくる鳴き声がまさにそれだ。




しかしここは日本でチンパンジーはいない。


声の主は猿で、警戒されているのはテント内にいる我々だ。


昼寝どころではなく、テント内で息を殺し、少し様子を伺うことにした。


隣のテントで寝ている相棒のS氏はこの状況に気づいているのだろうか。


数匹の猿が近づいて来ているのは間違いないが、ヤバいと言うほどの状況ではないので、そのままS氏に声を掛けずに、事態が鎮静してくれる事を願った。








しかしそれは現実を直視していない逃避に近い考えだった。





フォギャッ!フォギャッ!  ガサガサ




「ヤバい・・・20m?先か・・・数匹やなく群れやわ・・・四方八方からや・・・囲まれてるんちゃうか・・・」




ホッホッ  ギャッア!!ギャッアッ!!  キィギャァ!!!キィギャッ!!! 

イギャアッ!!!!イギャッ!!!!!  ギャ~~~ッ!!!ギャ~~~ッ!!!!



「アカン」そう思った瞬間に、S氏と同時にテントから外に飛び出た。



今聞こえている叫び声は決して警戒ではない。「威嚇」そのものだ。


だが姿が見えない。


自然と私とS氏は背中を合わせ、「私はS氏の背後を」「S氏は私の背後を」警戒した。


猿達にこれ以上近づかれないよう、S氏は拳を振り上げ叫び声を轟かせ、私は鍋を叩いて威嚇した。


緊張感が頂点に達したときに、一匹の体の大きな猿が30m程先の、山肌に立つ木の枝の先に姿を現した。


その大きな猿は牙を剥き出し叫び、枝を大きく揺さぶって激しく威嚇した。


それを合図に周りの猿たちも、激しく木の枝を揺さぶり投石を始め、いよいよ我々に危険が迫っていることを認めなければならない状況となった。






「オラァ降りてこいボケェ!誰がボスか教えたるわっ!」







とは言えませんでした。







分が悪いのは明らかに我々の方だった。


我々の威嚇は猿達の怒りの炎に油を注ぐだけで、事態を鎮静させることにならないと気付き、威嚇行為を止めた、と言うより萎縮していたのかもしれない。


しばらく猿たちの威嚇は続いたが、これ以上近づいてこない事にも気付いた。


集落から遠く離れ、深い山中に暮らす猿は人間慣れしておらず、彼らからすると自分たちよりはるかに体の大きい人間を恐れているのだろう。


とにかく背中を見せないように森の方向を睨み、事態が双方にとって良い方向へ向かうことを願っていた。


やがて猿達の叫び声は少しづつ遠ざかり、山中へと消えていった。


この間20分いや15分くらいだっただろうか。十数分をこんなに長く感じたのはいつ以来だろう。





ここは彼ら野生動物の領域で、人は山と彼らに対する畏怖の念を忘れてはならない。





事なきを得て、再び静かに宴を再開し、やがて辺りは漆黒の闇に包まれ眠りについた。






翌早朝、フォワッフォワッ と、猿達の警戒発声に目が覚める。


昨日帰っていった東の方角から近づいてくる。ここは猿達の通り道だった。


S氏は寝ているようだ。


私は一人テントの外に出て少し開けている場所で、椅子に腰を下ろし、両手を下にやや広げて山腹を観察していた。


私なりに争う気がないことを、示しているつもりだった。


それが伝わったのか、それとも昨日の攻防で懲りたのか、猿達の警戒発声が威嚇に発展する事はなく、やがて山腹のほぼ垂直に切り立った岩場を群れが横断し始めた。


群れの中には子猿を背負った母猿が数匹まじり、20匹から先は数え切れなかった。


最後に岩場に残った一匹の猿が、一際大きな声で周囲に警戒を促し、群れの後を追い消えていった。


テントに戻り二度寝をし、9時過ぎに起床。撤収作業は念入りに行った。


紙くず一つゴミを残さないのは当然で、効果は疑問だが匂いを消すため、石を一つずつひっくり返し、沢から水を汲み私たちが過ごした周囲にまき、人間がいた痕跡を可能な限り消した。




そして11時に一晩の土地と、動物達に感謝をしてここを立ち去った。








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